Nourrirが生まれるまでに私が経験した悩みや葛藤を、ここに記したいと思います。
この記録が、同じような悩みを抱えている方の力になれたら嬉しいです。
結婚して半年後、私たち夫婦は初めての子どもを授かりました。
ママになることへの不安を感じながらも、順調な妊娠期間を過ごしました。
しかし、出産は私の想像をはるかに超える経験となりました。
出産予定日より8日早く陣痛が始まった夜、夫は友人の結婚式から酔っぱらって帰宅したばかりで、運転を頼めずタクシーで病院へ向かいました。
お産はなかなか進まず、一時帰宅を挟んで再び病院に戻るまでに丸一日。
そして、その後33時間かかってようやく長女が生まれました。
陣痛中は意識が朦朧とし、胎児の心拍が落ちたため促進剤を使用し、吸引分娩での出産でした。
夫はその時の光景を「医療ドラマのようだった」と振り返っています。
出産後、体はボロボロで、10メートル先のトイレに行くのも一苦労。
それでも授乳やおむつ替えなど、赤ちゃんの世話が始まりました。
しかし、母乳が思うように出ない現実に直面し、自分を責める日々。
母乳が出るようにとお餅を無理に食べたり、マッサージに通ったりしましたが、心は次第に不安に押しつぶされるような感覚に陥りました。
授乳中に何とも言えない不安感に襲われるようになったことも、私の心にさらに追い打ちをかけました。
体の痛み、赤ちゃんの泣き声、寝不足が重なり、私は「赤ちゃんを産まなければよかった」とさえ思うようになりました。
しかしそんなことを考える自分を許せず、自分を母親失格だと責め続けました。
周囲のアドバイスも助けも受け入れられず、全てが煩わしく感じました。
あの頃の私は、診断されたわけではありませんが、間違いなく産後うつ状態でした。
長女の誕生は夫婦関係にも影を落としました。
私は夫に助けを求めていましたが、返ってくるのは正論ばかり。
その言葉にさらに追い詰められ、「夫は苦しい時に助けてくれない人」と感じるようになりました。
それ以来、夫への気持ちは冷え込み、何をされても不快に思うようになりました。
長女が成長し、次女を授かるまでの間に2度の流産を経験。
その間も夫婦関係は冷え切っていましたが、子どもが欲しいという思いから、割り切って夫婦の関係を続けていました。
次女が生まれた後も、私は長女を愛せないという苦しみを抱えていました。
厳しく接してしまったり、行動が気に入らなかったり。
そんな自分を隠すために長女と距離を置きました。
心の中では「親から愛されないと感じることが与える影響」を恐れながらも、どうすることもできませんでした。
そんな中、私は心理学と出会い、心について学び始めました。
そこで学んだのは、「どんな感情も感じて良い」ということ。
そして、その感情を認め、受け入れることで深い安心感を得られるということでした。
私が産後に感じた苦しみは、心の中の「子どもの部分」が助けを求めていたのだと気づきました。
その子どもの心を理解し、感情を整理することで、私は次第に自分を許せるようになりました。
自身の子どもの心を育てるプロセスは、子育てと同じです。
厳しさや正しさだけでは、人は本当の意味で育たないのです。
こうした経験を通じて、私は「どんな苦しみも成長の糧」と考えるようになりました。
かつては地獄のように感じていた日々も、振り返ると自分を育てるための過程だったのです。
そう思えるようになるまで、5年かかりました。
時間はかかりましたが、今では心から笑える自分がいます。
経験を重ねる中で、問題が起きても気持ちを整え、対処できるようになってきました。
また、少しずつですが、困難な状況でも心を切り替えることができるようになっています。
これまで経験した痛みや迷い、そして心の傷は、今では私にとって大切な知恵となりました。
その知恵を生かして、夫婦関係や子育てに悩む方々のお役に立てればと、心から願っています。